血管内レーザー焼灼治療とは、静脈内に挿入した光ファイバーの先端からレーザーを照射し、このレーザー光による熱作用で静脈壁を変性させて静脈を閉塞させる治療です(病変のある組織を焼いて治療することを焼灼と言います)。これまでの下肢静脈瘤に対する治療としては、手術治療である静脈抜去術、日帰り治療としての硬化療法などがありましたが、 H23年に血管内レーザー焼灼術が保険適応となりました。その簡便性と治療効果の点から全国的にレーザー焼灼術による治療件数が増加しつつあります。

 実際の治療では、局所麻酔もしくは全身麻酔下に膝関節近くの表在静脈(伏在静脈)から光ファイバーを静脈内に進め、この後、このファイバーを引き抜きながらレーザー照射を行って血管の内側から静脈の焼灼を行い、逆流をきたしている伏在静脈を閉塞させます。この治療では手術のキズはほとんど残りません。成功率は98%以上と報告されており、治療効果はこれまでの静脈抜去術と比較しても遜色がないと言われています。下腿部にある静脈瘤自体は処理しないのですが、このレーザー焼灼治療を行うことにより、かなり縮小するとされています。もし残った静脈瘤があっても、後日硬化療法などの治療を追加することで対処することは可能です。

 低侵襲性と治療効果の高さから、欧米では静脈瘤治療の90%以上がこのような血管内治療に切り替わったとされており、今後本邦でも同様の方向に進むものと考えられます。

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 当院では最新型のレーザー焼灼装置(ELVeSレーザー1470)を導入し、平成26年7月よりこれによる下肢静脈治療を開始しました。今回導入したレーザー装置は、以前の装置と比較して、静脈壁の穿孔や術後の痛み、皮下出血、皮膚の火傷といった合併症が少なくなると期待されています。現在は1泊2日の入院で行っていますが、要望があれば日帰り手術も可能です。

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