診療科の取り組み
当科は呉西地区の中核病院として産婦人科全般の診療を行っています。年間約300件の手術がありますが、当院には日本産婦人科内視鏡学会技術認定医が4名勤務しているため、積極的に内視鏡手術を行っております。
良性腫瘍は約80%が腹腔鏡手術です。2014年からは悪性腫瘍に対しても積極的に腹腔鏡手術に取り組んでいます。内視鏡技術認定医と日本婦人科腫瘍学会専門医・指導医がチームとなり、悪性腫瘍に対する腹腔鏡手術を行っています。
現在のところ、富山県内で子宮頸がんや子宮体がんに対して腹腔鏡手術を行っている施設は、当院を含め2施設しかありません。呉西地区では唯一の病院です。
治療はエビデンスに基づき標準的・集学的治療を行っております。産科は年間約150件の分娩があり、完全母子同室とし入院中に母乳育児を確立できるよう援助しております。退院時の完全母乳育児率は80~90%を保持しています。できるだけ自然分娩を行い、夫立ち会い分娩も行っております。
その他不妊外来、思春期外来、女性専門外来などの特殊外来を設け、女性のQOL向上に努めております。
診療内容(特徴・特色)
婦人科
月経不順、子宮内膜症、更年期障害、子宮脱などに対しては患者さまのQOLを考慮して治療法を選択していきます。
婦人科腫瘍には良性腫瘍や悪性腫瘍があります。
良性腫瘍(卵巣嚢腫、子宮筋腫など)に対しては、積極的に腹腔鏡(内視鏡)手術を行っており、患者さまへの侵襲をできるだけ軽くするよう努めております。良性疾患における腹腔鏡手術の割合は約80%です。令和元年12月より良性子宮疾患に対して、ロボット(ダビンチ)支援手術も開始し、より低侵襲の手術を行っております。
悪性腫瘍には子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどがあります。
子宮頸がんは最近若年化が進み、20代、30代の方が増加しております。幸い、子宮がん検診の普及によって初期の段階で発見されることが多くなっているため、妊孕性の温存が必要な初期癌に対しては子宮を摘出せず、LEEPを用いた円錐切除術で治療を行います。妊孕性の温存ができない早期子宮頸がんに対してはより侵襲の少ない腹腔鏡手術を行っています。手術可能な進行子宮頸がんに対しても腹腔鏡手術に取り組んでいます。すべて子宮頸がん治療ガイドラインに準じて治療を行っております。
子宮体がんは最近増加しており、子宮がん全体の50%を超えるようになっています。子宮体癌には手術療法以外にあまり良い治療法がありません。手術によって癌の広がりを正しく診断し、癌を取りきる必要があります。当院では子宮体がんに対して子宮と卵巣だけの摘出という昔の手術とは異なり、例外を除いて、所属リンパ節郭清を含む標準手術を行っています。しかし最近では、リンパ節郭清が省略できる早期子宮体がんに対してはリンパ節郭清を行っていません。2014年4月初期子宮体がんに対する腹腔鏡手術が保険適応となってからは、当院でも積極的に腹腔鏡手術を行っています。2014年以降、子宮体がんの約70%は腹腔鏡手術となっています。進行した症例に対しては、EBM(Evidenced based medicine)に基づき、現在までに治療効果が良いと言われている抗癌化学療法を補助療法として行っています。すべて子宮体がん治療ガイドラインに準じて治療を行っております。
卵巣がんの治療成績は化学療法の感受性と手術療法の手技によって異なります。当院では外科、泌尿器科の協力を得て、できる限り腫瘍を摘出する積極的手術を行い、現在最も有効と考えられている抗癌化学療法を行っています。卵巣がんの場合、残念ながら初回手術が試験開腹術に終わってしまうことがあります。このような場合、最近では、積極的に腹腔鏡検査を取り入れています。そのため、患者さまの負担が軽減され、より早期に抗癌化学療法を行えるようになっています。これらによって良好な成績が得られています。すべて卵巣がん治療ガイドラインに準じて治療を行っております。
産科
年間約150件の分娩があります。妊婦健診は毎回超音波検査を行い、胎児異常の早期発見に努め、また随時経腟超音波を用いて切迫早産を早期に診断し早産予防に努めています。切迫流産、切迫早産、双胎、合併症を有する妊婦さんの入院治療も行っています。NICUの施設はありませんが、妊娠35週以降の新生児は小児科と共同で管理可能な実績があります。
現在、助産師外来を開設し、早期母子接触や完全母子同室制を取り入れ、助産師による積極的な乳房ケアが行われています。その結果、退院時の完全母乳率は80~90%となっています。当院ではできるだけ自然分娩を行い、希望があれば夫立ち会い分娩を行っています。
外来診療担当表
午前 | 8時30分~11時 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
---|---|---|---|---|---|---|
婦人科 | 生水 | 脇 | 牛島 |
脇
|
山﨑 | |
産科 | 脇 | 牛島 | 島田 | 山﨑 | 生水 | |
午後 (予約制) |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
産褥・妊婦健診
[14時~16時]
|
医師 | 助産師 | 医師 | 医師 | 医師 | |
[14時~15時]
|
手術 | 山﨑 | 手術 | 牛島 [1・3・5週] |
手術 | |
一般婦人科
[15時~16時] |
||||||
[16時~16時30分]
|
||||||
母乳外来
[14時~16時] |
助産師 | - | - | 助産師 | 助産師 | |
[16時30分~17時]
|
脇 | - | - | 脇 | - |
担当医師
脇 博樹(わき ひろき)

専門領域・得意分野
産婦人科一般、不妊症、腹腔鏡手術
資格・学会
- 日本産科婦人科学会専門医
- 日本産科婦人科学会指導医
- 日本専門医機構産婦人科専門医
- 日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
- 日本組織移植学会認定医
- 母体保護法指定医
- 日本生殖医学会
モットー・患者さんへの一言
患者さんへの丁寧な説明を心掛けています。
趣味
バドミントン
山﨑 悠紀(やまざき ゆうき)
専門領域・得意分野
周産期医学、不妊症、女性専門外来、思春期相談、腹腔鏡手術
資格・学会
- 日本産科婦人科学会専門医
- 日本産科婦人科学会指導医
- 日本専門医機構産婦人科専門医
- 日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
- 母体保護法指定医
- 日本女性医学会女性ヘルスケア専門医・指導医
- 日本婦人科腫瘍学会
- 日本周産期新生児医学会
- 日本生殖医学会
- 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
- 日本DMAT隊員
- 日本内視鏡外科学会
モットー・患者さんへの一言
丁寧な診療及び患者さんにわかりやすい説明を心がけます。
牛島 倫世(うしじま みちよ)
専門領域・得意分野
産婦人科一般、女性専門外来、思春期相談、婦人科細胞診(専門医)、腹腔鏡手術
資格・学会
- 日本産科婦人科学会専門医
- 日本産科婦人科学会指導医
- 日本専門医機構産婦人科専門医
- 日本臨床細胞学会細胞診専門医
- 日本臨床細胞学会教育研修指導医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
- 母体保護法指定医
- 日本癌治療学会
- 日本周産期新生児医学学会
- 日本女性医学学会
- 日本思春期学会
モットー・患者さんへの一言
丁寧な説明と笑顔を心がけたいです。
生水 貫人(しょうず かんと)
専門領域・得意分野
産婦人科一般
資格・学会
- 日本産科婦人科学会専門医
- 日本周産期新生児医学会
- 日本婦人科腫瘍学会
- 日本産科婦人科内視鏡学会
- 日本臨床細胞学会
- 日本超音波医学会
- 日本メディカルAI学会公認資格
モットー・患者さんへの一言
安心感を与えられるように懇切丁寧な説明を心掛けます。
島田 なつみ(しまだ なつみ)
専門領域・得意分野
産婦人科一般
資格・学会
- 日本産科婦人科学会
モットー・患者さんへの一言
相談しやすい雰囲気、丁寧な診療を心がけたいです。
専門外来
不妊外来
- 月・木の16時30分から17時まで完全予約制で脇医師が診療を行っています。
- 平成11年の開設以来、多くの方が妊娠に至っています。
女性専門外来
- 火・木曜日(木曜は第1・3・5週)の14時から15時まで完全予約制で女性医師が診療を行っています。
- 女性が、生き生きと健康に暮らせるために、悩みや相談に応じています。
- 必要に応じて他の専門診療科へのご紹介もいたします。
思春期外来
- 火・木曜日の16時から16時30分まで診療を行っています。
- 女性の医師なので、思春期に起こる生理不順、生理痛、性に関する悩みなど気軽にご相談ください。
母乳外来
- 助産師が安心して母乳育児ができるよう、母乳に関する悩みを一緒に解決いたします。
助産師外来
- 助産師による妊婦健診を開催しています。助産師外来では、あなたのバースプランを支援し、楽しい育児を応援します。
遺伝性乳がん・卵巣がんカウンセリング外来
- 完全予約制です。日時は担当の医師と調整のうえ決定します。
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)について、遺伝カウンセリングでがんの既往歴や家族歴を聴取し、遺伝が関係するかどうかをリスク評価し、がん発症のリスクや治療・予防の選択肢について情報提供を行います。
そのうえで相談者の方が検査を希望される場合は、遺伝子検査を実施し、遺伝子の病的変異の有無を調べます。
「遺伝性乳がん・卵巣がんカウンセリング外来」ページはこちら
手術・分娩実績
手術実績
婦人科良性疾患 | 平成 27年 |
平成 28年 |
平成 29年 |
平成 30年 |
令和 元年 |
令和 2年 |
---|---|---|---|---|---|---|
腹腔鏡手術(子宮) | 62件 | 57件 | 49件 | 70件 | 54件 | 45件 |
腹腔鏡手術(卵巣・卵管) | 54件 | 63件 | 73件 | 71件 | 35件 | 48件 |
開腹手術 | 22件 | 22件 | 26件 | 15件 | 15件 | 18件 |
その他 | 60件 | 33件 | 35件 | 66件 | 52件 | 38件 |
婦人科悪性疾患 | 平成 27年 |
平成 28年 |
平成 29年 |
平成 30年 |
令和 元年 |
令和 2年 |
悪性腫瘍手術 | 41件 | 43件 | 19件 | 29件 | 25件 | 31件 |
腹腔鏡手術 開腹手術 |
23件 18件 |
24件 19件 |
10件 9件 |
15件 14件 |
7件 18件 |
8件 23件 |
LEEP | 9件 | 25件 | 24件 | 22件 | 10件 | 13件 |
産科 | 平成 27年 |
平成 28年 |
平成 29年 |
平成 30年 |
令和 元年 |
令和 2年 |
帝王切開術 | 41件 | 55件 | 31件 | 40件 | 32件 | 40件 |
子宮内容除去術 | 27件 | 12件 | 23件 | 14件 | 25件 | 14件 |
その他 | 3件 | 1件 | 0件 | 0件 | 1件 | 0件 |
総手術件数 内ロボット手術 |
319件 |
311件 |
280件 |
327件 |
249件 2件 |
278件 19件 |
平成 27年 |
平成 28年 |
平成 29年 |
平成 30年 |
令和 元年 |
令和 2年 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
婦人科良性 疾患 |
腹腔鏡手術(子宮) | 62件 | 57件 | 49件 | 70件 | 54件 | 45件 |
腹腔鏡手術(卵巣・卵管) | 54件 | 63件 | 73件 | 71件 | 35件 | 48件 | |
開腹手術 | 22件 | 22件 | 26件 | 15件 | 15件 | 18件 | |
その他 | 60件 | 33件 | 35件 | 66件 | 52件 | 38件 | |
婦人科悪性 疾患 |
悪性腫瘍手術 | 41件 | 43件 | 19件 | 29件 | 25件 | 31件 |
腹腔鏡手術 開腹手術 |
23件 18件 |
24件 19件 |
10件 9件 |
15件 14件 |
7件 18件 |
8件 23件 |
|
LEEP | 9件 | 25件 | 24件 | 22件 | 10件 | 13件 | |
産科 | 帝王切開術 | 41件 | 55件 | 31件 | 40件 | 32件 | 40件 |
子宮内容除去術 | 27件 | 12件 | 23件 | 14件 | 25件 | 14件 | |
その他 | 3件 | 1件 | 0件 | 0件 | 1件 | 0件 | |
総手術件数 内ロボット手術 |
319件 |
311件 |
280件 |
327件 |
249件 2件 |
278件 19件 |
分娩実績
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
---|---|---|---|
総分娩件数 | 159件 | 134件 | 123件 |
帝王切開件数 | 40件 | 32件 | 38件 |
無痛分娩件数 | 0件 | 0件 | 1件 |