今までは、頚椎椎間板ヘルニアで手術する際に、前方より椎間板を摘出し、神経の圧迫を取り除いた後、自家骨やスペーサーを挿入し固定することがゴールデンスタンダードとされてきました。
頸椎人工椎間板置換術は、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症の治療に用いられる手術法です。椎間板を摘出した後、人工椎間板インプラントを設置し、頸椎の可動性を保持します。これにより、隣接椎間への負担を軽減し、隣接椎間障害の発生を予防する効果が期待できます。
日本では2017年12月に認可された治療法ですが、海外では約20年の臨床実績があります。国内では現在、2社の人工椎間板の使用が認可されておりますが、当院は両方の機種で実施施設基準、実施医基準を満たしており、既に経験を積んでおります。
(当院の術後レントゲン写真)
固定術と比較すると人工椎間板置換術の歴史はまだ浅いですが、海外の臨床データでは、神経症状の改善、患者満足度、可動性の維持、合併症の発生などは固定術より良好な結果が報告されており、固定術の欠点であった隣接椎間障害のリスクも少ないとされています。ただし、これらの人工椎間板置換術の利点は、適応を十分に選んで行なった場合のみ得られると考えられています。神経圧迫の位置や、頚椎の変形や不安定性の程度など、個々の患者さんの病態に応じて検討した上で、最良と判断した場合に人工椎間板置換術を実施しますので、当院整形外科へご相談ください。